相続が発生すると相続人を調査したり、銀行等の各種手続きを行うのに戸籍謄本が必要になります。
普段あまり考えることのない戸籍ですが、いざというときのために戸籍について改めて考えてみました。
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戸籍制度は、日本国民の国籍とその親族的身分関係(夫婦,親子,兄弟姉妹等)を戸籍簿に登録し、これを公証(公に証明)する制度です。また,人の身分関係の形成(婚姻,離婚,縁組,離縁等)に関与する制度でもあります。
戸籍簿は、届出(出生届,婚姻届,離婚届,死亡届など)等に基づき、日本人の国籍に関する事項と人の出生,婚姻,離婚,離婚その他の重要な事項を記載し、これを公証する公文書です。
現在の戸籍制度では、「夫婦及びこれと氏を同じくする子」単位で戸籍が作られています。具体的には、「夫婦」「夫婦と夫婦の子」「未婚の親と子」を単位に戸籍が作られます。
戦前は「家」単位の制度になっていましたので、戸主を中心に、父母、兄弟姉妹、子、孫、おじ・おば、甥・姪など三世代以上の親族がひとつの戸籍に在籍することがありましたが、現在では同居していたとしても、父母と結婚した子では戸籍は別々になります。
戸籍には次のような情報が記載されています。
・本籍地、戸籍の筆頭者の氏名
・戸籍が作られた理由と日付、戸籍が閉じられた理由と日付
・戸籍に記載されている人の氏名、生年月日、父母の名前、父母との続柄
・出生、養子縁組、婚姻、離婚、死亡などの身分事項
ある人の出生から死亡までの戸籍を確認することで、その人がいつ生まれ、いつ誰と結婚・離婚し、いつ子どもが生まれ、いつ死亡したのかを知ることができるため、その人の法定相続人が誰になるかを確定することができます。
戸籍は主に次のような場合に新たに作成されます。
・結婚
・転籍(本籍を移すこと)
・分籍(親の戸籍から抜けて新たに戸籍を作ること)
・未婚の女性が子供を産んだ
戸籍簿には「戸籍」「除籍」「改製原戸籍」の3つがあります。
現在の戸籍の内容を証明したものです。
全部事項証明書は戸籍記載されている全員の証明で、個人事項証明書は一部の人の証明になります。
以前は戸籍は紙で管理されていましたが、現在はコンピュータ化されており、コンピュータ化される前のものを戸籍謄本、戸籍抄本と言い、コンピュータ化されたものを戸籍全部事項証明書、戸籍個人事項証明書と言います。
戸籍に記載された全員が転籍、婚姻、死亡などの理由で除籍(空)になったことを証明するものです。
全部事項証明書は戸籍記載されていた全員の証明で、個人事項証明書は一部の人の証明になります。
コンピュータ化される前のものを除籍謄本、除籍抄本と言い、コンピュータ化されたものを除籍全部事項証明書、除籍個人事項証明書と言います。
戸籍の改製(戸籍のコンピュータ化など、戸籍の編成単位や様式が変更されること)があった場合、改製前の戸籍に記載されている内容を証明するものです。
改製原戸籍謄本は改製原戸籍に記載されている全員の証明で、改製原戸籍抄本は一部の人証明になります。
戸籍の附票とは、本籍地の市町村において戸籍の原本と一緒に保管している書類で、その戸籍が作られてから(またはその戸籍に入籍してから)現在に至るまで(またはその戸籍から除籍されるまで)の住所が記録されています。
住民票の異動があれば住所地から本籍地へ通知がされ、戸籍の附票の記載が変更されます。
また転籍等で戸籍の記載に変更があれば、附票を通じて住所地に通知がされ、住民票の記載が変更されます。
戸籍の附票は、会ったこともないような相続人が現れたような場合に、その相続人の現住所を調べるような場合に使用します。
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