相続税は、金銭で一時に納付することが原則となります。しかし、相続税額が10万円を超え、金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、納税者の申告により、その納付を困難とする金額を限度として、担保を提供することにより、年賦で納付する延納制度を利用することができます。この延納期間中は利子税の納付が必要となります。
目次
相続税を金銭で一括納付できない場合、延納(年賦による分割納付)を利用することで相続する不動産等を処分することなく納税が可能になります。
次の全ての要件を満たす場合に、延納申請をすることができます。
延納の申請は相続人ごとに行われるため、相続財産に現預金が多く含まれていても現預金を相続しなかった相続人には延納が認められます。
相続した財産のうちに占める不動産等の割合により、延納期間や延納利子税の割合が大きく異なります。
延納できる期間と延納税額に係る利子税の割合については、その人の相続税額の計算の基礎となった財産の価額の合計額のうちに占める不動産の価額の割合によって異なります。
延納を申請する際には担保を提供しなければなりません。
延納の担保として提供できる財産の種類は、次のものに限られます。
相続又は遺贈により取得した財産に限らず、相続人の固有の財産や共同相続人又は第三者所有している財産であっても担保として提供することができます。
延納税額が100万円以下で、かつ、延納期間が3年以下である場合には担保を提供する必要はありません。
なお、税務署長が延納の許可をする場合において、延納申請者の提供する担保が適当でないと認めるときには、その変更を求めることがあります。
延納を申請する場合は、納期限又は納付すべき日(延納申請期限)までに延納申請書に担保提供関係書類を添付して提出する必要があります。ただし、延納申請期限までに担保提供関係書類を提出できない場合は、担保提供関係書類提出起点延長届出書を提出することにより、1回についき3か月を限度として、最長6か月まで担保提供関係書類の提出期限を延長することができます。
税務署長は、延納申請書が提出された場合、その延納申請に係る要件の調査結果に基づいて、延納申請期限から3か月以内に許可又は却下を行います。
なお、延納担保などの状況によっては、許可又は却下までの期間を最長で6か月まで延長する場合があります。
延納期間と利子税割合については、次の表のようになります。
前期表中の不動産等の割合は、次の計算式により計算します。
課税相続財産のうち、不動産等の価額/課税相続財産の価額(小数点3位未満切上げ)
①上記(1)表中の利子税割合は、延納特例基準割合が7.3%に満たない場合の利子税は、次の算式により計算される割合(特例割合)を適用します。
(算式)延納利子税割合(年割合)×延納特例基準割合÷7.3%
②延納特例基準割合
ア 令和2年12月31日以前の期間にかかるもの
各年納期間の開始の日の属する年の前々年の10月から前年9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定金利の合計を12で除して得た割合として各年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合。
イ 令和3年1月1日以降の期間にかかるもの
各年納期間の開始の属する年の前々年の9月から前年8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に、年0.5%の割合を加算した割合。
利子税は、次の計算式により計算します。
((延納税額-前回までの分納税額)×利子税の割合×前回分納期限の翌日からその分納期限までの日数)÷365(100円未満切捨て)
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