相続税の申告は被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。申告期限を間際にして課税価額、相続税額等に異動が生じる特別な事情が生じた場合は、申告期限を延長することができます。
なお、申告期限の延長が認められるケースは限られており、遺産分割協議が調わない、相続財産の調査が終わっていない等は、申告期限延長の理由に該当しません。
目次
申告期限の1か月以内に、以下のような大きな状況の変化が生じたときは、それが生じたことを知った日から2か月の範囲内で申告期限を延長することができます。
災害その他やむを得ない理由がある場合は、その理由が止んだ日から2か月の範囲内で相続税の申告期限の延長ができます。
国税長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由の止んだ日から2か月以内に限り、当該期限を延長することができます。
その他やむを得ない理由とは、おおむね次のような事由をいいます。
例えば、相続人の一人が新型コロナウイルス感染症に感染したことなどにより、相続税の申告期限までに申告できない場合については、その状況が止んだ日から2か月以内に個別の申請を行うことでその方の申告期限等が延長されます。
相続開始のときに相続人となる胎児があり、その胎児が生まれた場合に全ての相続人に申告義務がなくなるときは、生まれた日から2か月の範囲内で相続税の申告期限の延長ができます。
相続人となる胎児がおり、その胎児が生まれたものとして課税価格及び相続税を計算したときにおいて、相続又は遺贈により財産を取得した全ての人が相続税の申告書を提出する義務がなくなる場合は、その胎児が生まれた日から2か月の範囲内で申告期限を延長することができます。
法定申告期限までに遺産分割協議が調わない場合は、その未分割財産については、各共同相続人又は包括受遺者が、民法の規定による相続分の割合又は包括遺贈の割合に従ってその財産を取得したものとして、課税価格及び相続税額を計算し、相続税の申告をします。
未分割による申告後、上記の割合と異なる場合で分割がされた場合は、それに基づいて、更生の請求、修正申告を行うことができます。
胎児を含めて算出しても相続人等の納付すべき相続税額が発生して相続税申告書の提出義務がなくならない場合には、申告期限の延長は認められません。
申告期限を過ぎて申告をした場合は、期限後申告となります。
期限後申告の場合は、無申告加算税と法定納期限の翌日から相続税を完納する日までの期間の日数に応じた延滞税が課されます。
災害その他やむを得ない理由により、申告期限等の延長を受けようとする場合には、災害その他やむを得ない理由のやんだ日から2か月以内に申請を行う必要があります。
申請に当たっては、納税地を管轄する税務署長に対し、災害その他やむを得ない理由がやんだ日後、2か月以内に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出すれば、税務署長が指定した日(災害その他やむを得ない理由がやんだ日から2か月以内)まで期限が延長されます。
関連ブログ
熟慮期間中に遺産の確認が間に合いそうにないときに行う熟慮期間の伸長申立て
相続・遺言に関するお問合せ・ご相談は下記お問合せ・ご相談ボタンよりご連絡ください。