亡くなられた方が持っていた銀行等の預貯金の相続手続きについて解説します。
目次
銀行は、預金者が亡くなったことを知ると、亡くなった預金者の預貯金を保護するため、その口座を凍結し、預貯金の出し入れができなくなります。
銀行は、ほとんどの場合、家族からの連絡や相続手続について問合せがあったことで預金者の死亡を知ることになります。
また、新聞の訃報欄などの情報から預金者の死亡を知るケースもあるようですが、役所に死亡届けを提出しても、その情報が自動的に銀行に伝わることはありません。
葬儀費用や残された家族の当面の生活費など現金が必要な場合は、銀行が預金者の死亡を知る前(口座凍結される前)であれば、家族が故人のキャッシュカードを使って預貯金を引き出すことが可能な場合が多いです。
ただし、故人の財産は、亡くなった時点でに相続人全員の共有財産になりますので、後の相続手続でのトラブルを防ぐためにも、引き出した預貯金の使い道については、領収書や記録を残しておくのがよいでしょう。
以前は、口座が凍結されると、基本的に相続手続が完了するまで預貯金の解約や引き出しはできませんでしたが、2019年(令和元年)の法律改正により、一部の引き出しが認められるようになりましたが、それなりの手続きと書類が必要になります。
各相続人は次の計算式で求められる金額の払い戻しを受けることができます。
故人の預貯金額×1/3×その相続人の法定相続分=引き出し可能額
例えば、相続人が故人の配偶者で、口座に300万円の預貯金があった場合に、配偶者が引き出すことができる金額は次のようになります。
300万円×1/3×1/2(配偶者の法定相続分)=50万円
ただし、同一銀行に複数口座がある場合は、口座毎の金額で計算され、また一つの金融機関につき合計150万円までという上限が設けられています。
この方法で預貯金を引き出すには次のような書類が必要になりますが、金融機関により対応が異なる場合がありますので、事前に確認が必要です。
・故人の除籍謄本、戸籍謄本または全部事項証明書(出生から死亡までが記されたもの)
・相続人全員の戸籍謄本または全部事項証明書
・預貯金の払い戻しを求める人の印鑑証明書および本人確認書類
預貯金の相続手続は、基本的には故人の口座を解約して、現金化したものを指定の口座に移してもらうというのが一般的ですが、このためには必要な相続手続を行う必要があります。
一般的に必要とされる通帳や書類の他に、銀行指定の届出書等が必要になりますので、銀行窓口に相談するか、銀行ホームページで情報を確認します。
これも金融機関により必要とされる手続や書類に違いがありますので、注意が必要です。
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