終活・相続・遺言・家族信託の行政書士下山たかし事務所
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遺産分割協議の当事者とは

亡くなった人(被相続人)が遺言を残していなかった場合、遺産(相続財産)は遺産分割協議の手続きにより各相続人等に配分されます。
遺産分割協議とは、遺産分割の当事者全員で遺産の分け方の話し合いをすることを言います。
遺産分割協議は、当事者全員の参加、合意が必要であり、一部を除外して行われた分割協議は無効になります。

遺産分割協議の当事者とは

目次

遺産分割協議の当事者

遺産分割協議の当事者は次になります。

1.法定相続人(共同相続人)

法律で定められた範囲の親族で、配偶者、子、親、兄弟姉妹等が対象になります。
詳しくは「相続とは」を参照ください。

2.包括受遺者

包括受遺者とは、遺産の全部または割合を指定した遺言により贈与(遺贈)された人のことです。包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有しており、相続人と同様に遺産分割協議に参加することができます。

3.相続分の譲受人

相続分の譲受人とは、相続人としての権利(地位)を相続人から譲渡された人のことを言い、他の共同相続人だけでなく、相続人以外の第三者の場合も含まれます。相続分の譲受人は、相続人と同じ地位に立ち、相続財産の管理だけでなく、遺産分割協議にも参加できます。

4.遺言執行者

遺言執行者とは、遺言による指定等により、遺言内容を執行する(実行する)ことを任せられた人のことを言います。遺言執行者は、遺言執行に必要な限度で利害関係人として遺産分割協議に関与るすることができます。

5.不在者の財産管理人

行方不明者の財産については、家庭裁判所が財産管理人を選任し、この者が管理します。行方不明者が相続人になった場合には、改めて家庭裁判所の許可を受けた上で、財産管理人が遺産分割協議に参加します。

6.未成年者の法定代理人や特別代理人

法律行為ができない未成年者は直接遺産分割協議に関与することはできず、親等の法定代理人が代理して遺産分割することになります。ただし、その法定代理人自身が相続人となっているような場合には、未成年相続人との利益が対立することになるため、家庭裁判所により選任された特別代理人が代理人として遺産分割協議に参加します。

7.成年被後見人の成年後見人

相続人が認知症等により、判断能力を失っている場合には、成年後見人を選任し、成年後見人が遺産分割協議を行います。

一部の相続人が漏れていた場合

上述の通り、遺産分割協議はすべての相続人が参加する必要がありますが、遺産分割協議前には判らなかった相続人が、遺産分割協議後に出てくるというケースもあります。

新たな相続人が出てくるケース

1.相続人調査が不十分で漏れがあった
例えば、別れた前妻との間にいた子や、婚外子(不倫関係の子など)を認知していたような場合は、見逃されることがあります。
このような場合は、遺産分割協議は無効になり、最初からやり直す必要があります。

2.遺言認知や死後認知によって相続人となった
遺言によって認知された子や、子が被相続人の死後に死後認知の訴えを提起して認められると、認知された子は相続権を取得します。

ただし死後認知の場合は、すでに行われた遺産分割協議自体は有効とし、認知された子は金銭による賠償を他の相続人に請求することができます。

3.遺産分割後に離縁や離婚が無効となった
養子縁組をしていた親子が、それぞれに離縁(養子縁組の解消)意思がなく、一方が勝手に離縁届を提出したり、夫婦の一方が勝手に離婚届けを提出しても、離縁や離婚は無効とされます。

被相続人が養子や配偶者に無断で離縁届や離婚届を提出していて、養子や配偶者がいないものとして遺産分割協議が行われた後、離縁や離婚が無効とされることも考えられます。
離縁や離婚が無効になると、被相続人との養子関係、配偶者関係が復活しますので、遺産分割協議は無効となり、やり直す必要があります。

4.遺産分割後に母子関係確認の手続きや父を定める訴えの裁判が確定した
母子関係確認の手続きとは、自分では育てられない等の事情により、母親が産んだ子を別の夫婦の子として届けられているときに、家庭裁判所の調停や裁判所の訴訟により母子関係を確認するための手続きです。

また、父を定める訴えとは、女性が離婚後すぐに結婚して出産したときに、子の父親が前夫なのか現在の夫なのかわからなくなったときに、訴訟で父親を確定する手続きです。

これらの手続きによって新たな相続人(子)が現れた場合には、遺産分割のやり直しが必要になります。