終活・相続・遺言・家族信託の行政書士下山たかし事務所
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自分の相続分を侵害された場合の対処方法とは(相続回復請求権)

Aさんが亡くなった父親から相続した実家をしばらく空けておいたところ、知らない間に弟家族が引っ越してきて住み始めていました。弟はかつて父親に対して暴力を振るって家を出ていったことから、遺言により相続廃除となっていました。
Aさんは弟に家を明け渡すよう要求しましたが、弟はこの家は自分も相続する権利がある言って譲りません。相続した実家を利用して事業を始めようとしていたAさんは困ってしまいました。

相続人として相続権を有しているにもかかわらず、他の相続人や相続権のない者が相続したものであるとして、一方的に相続財産を占有しているような場合はどうしたらよいのでしょうか。

相続回復請求権

目次

このような場合に、相続権を侵害された相続人が、相続権を侵害している者に対して、速やかに相続財産を回復できるよう制度化されたものとして相続財産回復請求権があります。

相続回復請求権は、相続人が相続権を侵害されたことを知ったときから5年間行使しないとき、または相続開始のときから20年を経過したときは時効により使えなくなります。

相続回復請求権を行使できる人

相続回復請求権を行使できる人は、相続権を侵害されている本来の相続人(真正相続人)です。
また真正相続人の相続人も相続回復請求権を有します。冒頭の例でいうと、仮にAさんが亡くなった場合には、Aさんの相続人である配偶者や子がAさんの相続回復請求権を引き継ぎます。

相続回復請求権の相手方

表見相続人

表見相続人とは、法律上の相続資格がないにもかかわらず、相続人であるとして相続財産を占有している者のことをいいます。

表見相続人の事例

  •  相続欠格事由に該当する相続人
  •  被相続人に相続廃除された相続人
  •  虚偽の出生届、認知届で子となった者
  •  無効な養子縁組で養子となった者

他の共同相続人

共同相続人であっても、その者の相続分を超えて相続財産を占有している場合、相続分を超え他の相続人の相続権を侵害している部分については、相続回復請求権の対象になります。
ただし、この相続人が、他に共同相続人がいること、およびその相続分を侵害していることを知らないこと、かつ知らなくてもやむを得ない合理的理由があることが必要です。

他の共同相続人の相続権を侵害しいることを認識しているような場合は、消滅時効のない所有権に基づく返還請求や妨害排除請求権を使うことになります。