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遺言書とは

遺言書とは

目次

遺言書とは、もしも自分が亡くなった時に、自分の財産を誰にどのように引き継いで欲しいのか、残された未成年の子供の世話は誰にして欲しいのかといった、遺言者の最終の意思表示を記載したものです。

遺言書が無い場合、相続が発生すると、法律で定められた範囲の親族(相続人)全員で、相続財産の配分を話し合って決める遺産分割協議を行う必要があります。そうすると、亡くなった本人(被相続人)が希望していた形とは違った配分になったり、相続人同士の争いになることが、往々にして発生します。

遺言書があれば、遺産分割協議をしなくても、相続人は財産を相続することができます。

また、被相続人の意思表示が明確にになることにより、相続人の納得を得られやすくなり、相続人同士の争いを防ぐこともできます。

離婚の増加や家族関係のいざこざから、相続争いが増えていると言われていますが、実際に遺言書を作成する人は1割以下に留まっています。

政府としても、遺言書をもっと手軽に作成したいという国民の声に応えるため、自分で書いた遺言書(自筆証書遺言)の書式の簡略化や保管制度の創立など、法制度見直しを行いました。

このような状況から、今後は遺言書を作成する人が増えてくるとみられています。

遺言書の目的

遺言書を残す目的には次のようなことが考えられます。

1.自分の希望通りに遺産配分ができる

例えば子供がいない場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人になるケースがありますが、遺言書があれば、残された配偶者のことを考え全財産を配偶者に相続させることができます。

あるいは、長男には家の建物、土地を相続し、次男には銀行預金を相続することで、不動産の所有や登記の細分化を防ぐことができます。

2.法律で決められた相続人以外に財産を残せる

遺言書が無い場合には、法律(民法)で定められた相続人以外に遺産を配分することは原則できませんが、遺言書があればお世話になった人や団体に財産を贈ることができます。

3.相続手続が簡略化され遺族の負担が減る

遺言書が無い場合は、相続人全員で遺産分割協議を必要がありますが、交流が無かったり、海外に住んでいる相続人が居ると、遺族には大きな負担になります。

遺言書があれば遺産分割協議が不要になるため、遺族の負担が減り、相続の手続きが早くできます。

代表的な遺言書の種類

遺言書には様々な方式がありますが、代表的なのは自筆証書遺言と公正証書遺言の2つです。

1.自筆証書遺言

自筆証書遺言を作成するには、法律(民法)で次のように方式が定められています。

①財産目録以外は自筆(手書き)で書かなくてはならない

②財産配分などの遺言内容の他、作成した年月日、遺言者の名前を書いて印鑑が押されてなければならない。
作成日を「〇年〇月吉日」としたり、夫婦連名としたり、押印がないものは無効。

③遺言の内容を変更したり修正する場合、決められた方式通りに訂正しなければならない。

自筆証書遺言は遺言者一人で作成できる手軽さや費用が掛からないといったメリットがありますが、注意して作成ないと形式的な不備により無効となる恐れがあります。

また自筆証書遺言は、家庭裁判所で検認の手続きが必要になります。
ただし法務局で遺言書を保管する「自筆証書遺言の保管制度」を利用した場合には検認手続きは不要です。

2.公正証書遺言

公正証書遺言は、公証役場の公証人に作成してもらいます。

公証人は法律の専門家なので形式的には安心できますが、手続きには不動産の登記簿謄本、戸籍謄本、印鑑証明書など多くの書類が必要になります。作成当日には、本人以外に2人以上の証人の立会いが必要になります。

公正証書遺言の場合は、手続きの手間と公証人に支払う手数料などが必要となりますが、形式的な不備だったり、紛失や偽造、廃棄といった恐れはなくなります。

また家庭裁判所による検認手続きも不要です。

遺言書を書くときの注意点

先に遺言書があれば自分の希望通りに遺産配分ができると書きましたが、無制限に希望通りになる訳ではありません。

配偶者、子供、親が相続人になる場合には、一定範囲で遺産相続を受ける権利である遺留分が認められています。

このため遺留分を侵害するような遺産配分については、必ずしも遺言書通りにはならない場合がありますので注意が必要です。

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