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遺言書作成に必要な遺言能力とは

遺言書作成に必要な遺言能力とは

目次

有効な遺言書を作成するためには、遺言者に「遺言能力」があることが必要です。
遺言能力のない人が書いた遺言は、無効になってしまいます。

遺言能力とは

遺言能力とは、遺言内容を理解し、遺言によって生じる結果を正しく認識、判断できる能力(意思能力)があることをいいます。

遺言能力については民法で次のように定められています。

遺言能力ある人

  • 年齢が15歳以上である
    未成年者であっても15歳になれば遺言の作成ができます
  • 意思能力がある
    認知症により成年被後見人となった人の場合には、医師2人以上が立会い、遺言者が遺言時に心神喪失の状況になかったことを証明する必要があります。

遺言能力は遺言作成時に備わっていなければなりません。
従って、15歳以上になっても意思能力がない場合は、遺言能力はないと判断され、その遺言は無効になります。

裁判で遺言能力が争われるケースのほとんどは、判断能力が低下した高齢者の遺言です。
高齢者の一部の家族、親族が、その財産を得ようとする思惑から、恣意的な遺言に導いていたり、遺言によって不利益を受ける相続人が遺言の効力を争うものです。

遺言能力の判定基準

それでは具体的にはどの程度の判断能力があれば、遺言能力があるといえるのでしょうか。

遺言能力が争いになった場合、話し合いで解決できなければ、訴訟によって裁判所が判断することになります。

裁判所の判断は、統一的な基準が示されているわけではなく、個々の案件毎に、あらゆる事情を総合的に考慮されて判断されます。

あらゆる事情として裁判所が示した例としては次のようなものがあります。

  • 遺言の内容
  • 遺言者の年齢
  • 病状を含む心身と死亡時との時間的間隔
  • 遺言時とその前後の言動及び精神状態
  • 日頃の遺言についての意向
  • 遺言者と受遺者との関係
  • 前の遺言の有無
  • 前の遺言を変更する動機・事情の有無
  • 遺言の時点で遺言の内容を判断する能力があったか否か

従って、遺言能力に不安がある方が、問題を残さないような遺言を作成するためには、次のような点に気を付けて遺言書を作成するとよいでしょう。

  • 遺言の作成前後の言動、行動を記録に残す
  • 遺言書作成当時の診断書、カルテ、看護記録を残す
  • 遺言書作成が不自然でないことを示すため、遺言書作成の理由を残す
  • 遺言書作成時に医師の立会いを求める
  • 遺言書作成時の様子を録音、録画する