終活・相続・遺言・家族信託の行政書士下山たかし事務所
事務所:045-517-8350
営業時間: 9:00~18:00(月~金)

遺言でできること、遺言事項とは

遺言でできること、遺言事項とは

目次

遺言が法的に有効となる事項(法定遺言事項)

遺言書に書くことにより、法律的に有効となる事項は民法などの法律で定められています。このことを「法定遺言事項」といいます。

遺言は相手の了解を得て行うものではなく遺言者(被相続人)が一方的に行う行為です。このため法的効果を伴う遺言事項を無制限に認めてしまうと、相続人や貸金があるなどの利害関係人に迷惑や損害が生じかねず、場合によっては紛争に発展してしまうこともあります。

このため法律によって遺言事項を限定しているのです。

遺言事項の種類

遺言事項には、財産処分に関する事項、身分関係に関する事項、遺言執行に関する事項、その他の事項があります。

財産処分に関する主な事項

  • 相続分の指定(民902)
    法律で定められた割合(法定相続分)とは異なった遺産の配分を指定したり、第三者に指定することを委託することができます。
  • 遺産分割の指定または禁止(民908)
    遺産分割の方法を定めたり、定めることを第三者に委託することができます。また5年以内の期間を定めて遺産分割を禁止することもできます。
  • 遺贈(民964)
    相続人や相続人以外の第三者に対して、自分の死後に財産を無償で贈与することができます。
  • 遺留分に関する別段の定め(民1047)
    受遺者または受贈者が遺留分侵害額を負担する割合について指定することができます。
  • 受遺者が先に死亡してしまった場合などの特別の定め(民994Ⅱ)
  • 保険金受取人の変更(保険法44、73)
  • 一般財団法人の設立(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律152Ⅱ)
  • 信託の設定(信託法3②)
    信託の設定を遺言によってすることができます

身分関係に関する主な事項

  • 相続人の廃除および廃除の取消(民893、894Ⅱ)
  • 認知(民781Ⅱ)
  • 未成年後見人、未成年後見監督人の指定(民839、848)

遺言執行に関する主な事項

  • 遺言執行者の指定、指定の委託(民1006Ⅰ)

その他の事項(法文に定めはないが、遺言によってできると解釈されている事項)

  • 祭祀主宰者の指定
  • 特別受益の持戻しの免除

遺言事項に当たらない事項の記載について

前述のとおり、法定遺言事項に当たらない事項を記載しても、法的効果はありません。
しかし、遺言事項でないことを記載することを禁止されているわけではありません。
このような記載のことを「付言」といいます。

例えば、葬式や埋葬の方法、家族間の介護や扶養の方法、遺訓などを定めても、法的な効果はありまあせん。

しかし、このことを読んだ相続人が、故人(被相続人)の遺志を尊重して行動してくれることはあるでしょう。
家族や世話になった方への感謝のことばと合わせて、上記のような付言をすることは、意味の無いことではないと思います。