終活・相続・遺言・家族信託の行政書士下山たかし事務所
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あいまいな遺言を残すとどうなる?

あいまいな遺言を残すとどうなる?(遺言の効力と解釈)

目次

遺言の効力

遺言はどのようなときに効力が発生し、どのようなときに無効になってしまうのか。
遺言は取消ができるのか、書き方があいまいな遺言の解釈はどうすればよいのか。
今回はこのような内容について考えてみたいと思います。

効力の発生

遺言は遺言者の死亡の時から効力を発生します。

しかし、遺言に停止条件を付けた場合には、遺言者の死後も、条件が成就するまでその効力は発生しません。

停止条件とは、ある一定の条件を達成するまでは効力を発生しないことをいいます。例えば、「子供Aが事業を引き継ぐのであれば、全財産を相続させる」と遺言した場合、遺言者が死亡しても、子供Aが事業を引き継ぐまでは効力は発生しません。

遺言の無効

遺言が無効になるのは、次のような場合があります。

  • 遺言の方式に違反した場合
  • 遺言作成時に遺言能力がない場合
  • 共同遺言の場合
  • 被後見人が後見の終了前に後見人またはその配偶者もしくは直系卑属の利益となる遺言をした場合
  • 錯誤(勘違い)により作成した場合
  • 公序良俗に違反する場合

遺言の取消

遺言者はいつでも遺言を撤回することができます。

効力発生後(遺言者の死亡後)の取り消しとしては、遺言者が錯誤、詐欺、強迫によって遺言を作成したことが認められた場合に限られます。

遺言の解釈

遺言書の書き方が曖昧で、意味不明な場合には、遺言者の最終意思の正確な法的意味を確定する作業(遺言の解釈)が必要になります。

遺言に不明な部分があっても、遺言者はすでに死亡しているので、本人に確認することはできません。

遺言の解釈にあたっては、遺言者の最終意思を尊重するべきであり、多少の不明確や矛盾があっても、遺言全体から、あるいは生前の日記、手紙、言動などの遺言書以外の資料を考慮して、合理的に遺言者の意思を判断できるのであれば、その遺言は有効とされます。

裁判所も遺言の解釈を巡っては、遺言者の真意を探求し、可能な限り有効になるよう解釈すべきとしています。

ただし、実際の裁判では、1審(原審)と2審(控訴審)で解釈が分かれる例もあり、できる限り解釈に疑義が生じない遺言作成を心掛ける必要があります。