終活・相続・遺言・家族信託の行政書士下山たかし事務所
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高齢な親の銀行口座管理の注意点

銀行が口座名義人が死亡したことを知ると、口座を凍結してお金の出し入れができなくなります。そうなると、必要な生活費の引き出しや、公共料金の支払い(引き落し)ができないなど、様々な支障をきたすことがあります。
そのような不都合を改善するため、最近は民法が改正され、一定範囲の金額については親族が引き出せるようになりました。

一方、口座が凍結されるケースとして、認知症により名義人の判断能力が低下していることを銀行が知った場合もあるということは、あまり認識されていないのではないでしょうか。
このようなケースでは、死亡時の口座凍結とは違い、出金はできなくなりますが、引落や年金の振込はそのまま続きます。
年金の振込先口座は本人名義の口座でなければならないため、こうなると家族でも年金を引き出すことができず困ることになります。

親の認知に伴う銀行口座管理は、どのような対策があるのか考えてみたいと思います。

高齢な親の銀行口座管理の注意点

目次

1.認知症が進行している場合

すでに認知症がかなり進行していて、口座が凍結されてしまった場合には、法定後見制度を使うことになります。

法定後見制度を利用するためには、家庭裁判所に申立てを行い、法定成年後見人を選任してもらいます。
誰を法定成年後見人にするかは、家庭裁判所が決めるため、必ずしも親族が就任するとは限りません。
また後見人に親族が選任されたとしても、場合によっては後見監督人として専門職を就任させることがあります。

法定成年後見人は、代理権に基づき、本人に代わり口座管理や変更手続きができますが、家庭裁判所への申立てから選任までに数カ月かかるのが通常です。

2.認知症になる前に将来に備えてできること

①任意後見制度

まだ判断能力があるうちに、将来認知症になった場合に備えるには、任意後見制度を利用する方法があります。

任意後見制度では、本人がまだ元気なうち(判断能力があるうち)に、任意の信頼できる家族等との間で契約を結んでおき、いざ本人が認知症となってしまった場合には、家庭裁判所に申立てを行い任意後見監督人を選任してもらうことで、契約した家族が任意後見人として本人の口座手続き等の財産管理や病院や介護施設の手続き等の身上監護を行うことができるようになります。

②家族信託

銀行口座からの引き出しにとどまらず、認知症になった親の資産をより積極的に運用したいといった場合には、家族信託という方法があります。

家族信託では、任意後見制度同様、本人(委託者)の判断能力があるうちに信頼できる家族(受任者)と契約を結び、本人の財産管理や処分できる権限を受任者に与え、その財産や財産の運用によって得られた利益を、やはり契約で定められた受益者(本人やその配偶者、子など任意に決めることができる)に与えることができます。

家族信託では、対象となる財産の所有権を委任者から受任者に移転し、株や投資信託での運用や、賃貸マンション等の不動産活用といった積極的な運用ができます。

ただし、年金受け取りなど、どうしても本人名義の口座が必要な場合には家族信託では扱えないため、後見制度との併用が必要になってきます。

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