高齢化の進展とともに、認知症の患者数も増加しています。
2012年の全国の認知症患者数は462万人と、65歳以上の高齢者の7人に1人でしたが、2025年には約700万人、5人に1人になると見込まれています。
誰もが認知症になる可能性があるのです。
認知症で判断能力が衰えてしまった人が、悪質業者にだまされて不当な契約をしないよう保護したり、介護制度の利用などの複雑な手続きを行う場合にはどうしたらよいのでしょうか。
認知症で判断能力が衰えてしまった人を保護する制度として成年後見制度があります。
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成年後見制度とは、認知症などにより判断能力が衰えてしまった人の財産を管理し、契約など法的な面から日常生活を守る制度です。
成年後見制度では、判断能力が衰えてしまった人を保護する人として「成年後見人」が指定され、保護される人のことを「成年被後見人」といいます。
成年後見人が行う仕事は、大きく分けて次の2つがあります。
身上監護(しんじょうかんご)
身上監護とは、被後見人の生活や療養に関連する契約や手続きを行うことです。
例えば、介護保険を利用してホームヘルパーに来てもらえるよう手配や契約手続をします。
財産管理
財産管理では、被後見人の預貯金や不動産などを、その取引も含めて安全に管理します。
介護サービスの利用や生活に必要なお金を、被後見人の預金口座から引き出して支払いをするなどを行います。
成年後見制度には、「法定後見制度」と「任意後見制度」の2種類があります。
すでに判断能力が不十分になってしまった場合に、本人や法律で決められた人(一定範囲の親族など)が家庭裁判所に申請をし、その審判によって利用できる制度です。
自分が将来、認知症などで判断能力が不十分になった場合に備えて、元気なうちに自分が信頼する人と契約を結んでおいて、実際に判断能力が不十分になったら、その人に守ってもらう制度です。