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相続手続きで必要となる遺産分割とは

多くの場合、人が亡くなって残された遺産は相続人が相続することになり、遺産分割が行われます。

相続手続きで必要となる遺産分割とは

目次

1.遺産分割とは

人が死亡して相続が発生すると同時に、被相続人(亡くなった人)の相続財産は相続人の共有になります。遺産分割とは、相続人の共有となった相続財産について、その帰属を確定させることです。

つまり被相続人の持っていた不動産や預貯金は、一旦相続人全員のものになり、遺産分割を行うことではじめて、不動産を引き継ぐのは誰、預貯金は誰と誰がどのような配分で引き継ぐかが決まります。

なお、被相続人が遺言を残していて、すべての遺産の処分方法が定められている場合は、遺言の内容が優先されるため、遺産分割の手続きは不要になります。
遺言があっても、配分を割合で指定していたり、処分の指定がない遺産がある場合には、やはり遺産分割の手続きが必要になります。

2.遺産分割の基準

遺産分割の基準となるものは法定相続分になります。
しかし、実際の遺産分割ではそれだけで分けられるのではなく、「遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他の一切の事情を考慮して(民906)」行わなければなりません。
例えば、相続人が年少や高齢であるなどの年齢、病気や障害、住居の確保、農業や自営業の継続といったことが考慮されます。

遺産分割は、当事者のこうした諸事情や家庭関係を考慮しながら、協議で行うという、合意による解決を優先する仕組みになっています。
どうしても協議がととのわないときは、家庭裁判所の調停、審判が行われます。

3.遺産分割の方法

遺産分割の方法としては主に次があります。

(1)現物分割

例えば、自宅は妻、預貯金は長男、現金は次男というように、現物をそのまま配分する方法です。

⇒詳しくは「遺産の分割方法(1)現物分割とは」を参照ください。

(2)換価分割

例えば、不動産や株券などを売却し現金化してから配分する方法です。
1円単位まで分割できるので、明確で公平性を保つことができます。
ただし自宅はどうしても手放したくないといった事情がある場合には、この方法を使うのは難しいです。

(3)代償分割

例えば、相続財産が自宅のみで、相続人が長男と次男である場合、自宅は長男が相続する代わりに、長男が次男に代償金を支払うという方法です。

4.分割の時期

遺産分割請求権には時効がないため、いつでも分割を請求することができます。
ただし、被相続人による遺言、または相続人全員の合意があれば、相続開始のときから5年以内で、遺産の全部または一部について分割を禁止することができます。遺言による相続禁止の場合は、相続人全員の合意があれば、分割を実行することができます。

5.遺産分割手続きの流れ

遺産分割の手続きは次の段階があります。
1.遺産分割協議
2.協議がととのわない場合は、家庭裁判所の調停
3.それでも合意できないときは、家庭裁判所の審判

それぞれの段階で、次のような手順で進行します。
①相続人の範囲および相続分の確定
②遺産の範囲の確定
③遺産の評価
④特別受益者とその額の確定
⑤寄与相続人と寄与分の確定
⑥特別受益および寄与分をふまえた相続開始時における具体的な相続分額の算出
⑦具体的相続分額の割合に基づく、遺産分割時における遺産分割取得分額の算出
⑧具体的な遺産分割の決定

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