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社会保障・人口問題研究所の推計によると2020年の生涯未婚率は男性が26.7%、女性で17.5%ということです。これは10年前の実績値に比べ、男性は+6.6%、女性で+6.9%の増加になっています。
これは、老後を一人で迎える人が増えていることを示しています。
また、ライフスタイルの多様化により、結婚をしても子供を持たなかったり、同性婚カップルでパートナーに先立たれたりして、やはり老後を一人で迎える人もいると思います。
このような人の中には、自分の死後に、役所等への各種手続きや、残された財産の管理・処分はどうなるのか、不安に思う人も多いのではないでしょうか。
このような不安や悩みを解決する方法として「死後事務委任契約」があります。
死後事務委任契約とは、自分が元気なうちに、自分が将来亡くなった後の諸々の手続き、葬儀や埋葬に関する対応について、他の人(法人)と契約で委任しておくことをいいます。
死後委任契約も遺言も、亡くなった方の意思に基づいて手続きを進める点では同じです。
しかし、死後事務委任契約と遺言では次のような大きな違いがあります。
対象となるのは不動産や預貯金等、財産の承継(引継ぎ)のみ
財産承継以外であれば、特に決まりはない
従って、自分の死後のことを幅広く決めておきたいのであれば、遺言と死後委任事務契約の2つを残しておく必要があります。
死後事務委任契約の受任者(契約を引き受ける人)になるのに、特別な資格は必要ありません。だれでも受任者になることができますので、信頼できる親類、知人、友人がいれば、その方にお願いするのもよいでしょう。
もっとも、死後事務委任契約がなくても、通常は親族が亡くなった方の死後の手続き行うことになるので、親族と死後事務委任契約を結ぶのは、葬儀や埋葬の方法等に強いこだわりがある場合になるでしょう。
もし、頼れる親族、知人、友人が身近にいないような場合には、弁護士、司法書士、行政書士といった専門家に依頼する方法もあります。
死後事務委任契約を結ぶのに、特別な決まりはありません。極端な話し、口頭での約束でも契約は可能です。実際には、きちんと契約書を作成するのがよいでしょう。
そして、弁護士、司法書士、行政書士等の専門家以外の人に死後事務を委任する場合は、契約書を「公正証書」にすることをお勧めします。
公正証書とは、公証役場という役所で、公証人という公務員に契約書を作成してもらうことができます。公証人は、元裁判官や元検察官である場合がほとんどです。
公正証書は、公的な手続きになりますので、公正証書で作成された契約書であれば、委任者(契約を依頼する人)の意思で作成されたものであることが明らかにできます。このため死後の相続人との調整や、役所等の手続きがスムーズに行うことができます。